モノ好きなディーシー・ラボ所長の奥本健司が、モノやコトについて気ままに綴った「ケンボーのモノ語り」
時折登場するオークション事例は、その出品コピーや結果も記載。
その道の趣味、興味のない方にはさっぱり意味不明なアイドルトーク(無駄話)です。
ここに見えるバーナー、ランタン、リール、カメラ、ペンシル、すべて1958年辺りに製造されたもの。
私と生まれ年の同じ同級生のモノたち。
なかでも赤ランタンは1958年11月製造で生まれ月まで私と一緒。
どれも現役バリバリ、それに経年の味が加わって存在感あり。
私もそうありたいものだが…(^_^;)
こういう製造番号って、マニアが「お?」っと思ってしまう注目ポイント。
特に自分の誕生日があったりすると飛びつきたくなったりして、くすぐりどころなのだ。
製造年月まで刻印されているコールマンなどは「俺のバースデーランタン」などと言って喜ぶわけ。(その中の一人が私)
キャンプ仲間の友人は、苦労して見つけた奥さんのバースデーランタンをプレゼントしたら、
「誕生日なんて思い出したくもないのに」と突っ返されたらしい…。
初期型ストーブの流れをくむColeman#500Aはギリギリ58年1月製造。
この時代のコールマンのストーブは大ぶりで、それが逆に荷物を積めるオートキャンプにはぴったり。
背後の小ぶりなのが新型のColeman#502。新型といっても1971年製造だけど。
これは毛ばりで魚を釣るフライフィッシング用のリール。
中身はあっけないほどパーツのない、至ってシンプルな作りのPflueger Medalist#1492。
フレームにある刻印で、このフルーガー・メダリストが1958年までの製造であることがわかる。
背後にあるのはさらに古い1930年代のアーリーモデル。
このペンシルは刻印があるわけではない。
しかし内部の軸機構の形状で、50年代の製造であることがわかる。
独特のノック感と太めの芯の確かな書き味で、“不朽の名作”と言われるモンブランのビンテージ・ペンシルPix(ピックス)シリーズ。
使用する芯は現行品にない1.18mm。
普及モデルのMontblanc-Pix372は通常ブラック軸だが、輸出専用品のこれは濃いブルー軸で特に珍しい。
黒っぽく写っているが、実物は濃紺(ペトロル・ブルーと呼ばれる)の色。
モンブランのPixの中でも人気の高いのが、マイスターシュテュックPix672。
Montblanc-Pix672はセルロイドのボディと金張りキャップ部のコンビモデル。
モンブランのこの時代の金メッキではない「金張り(Rolled Gold)」は、貴金属の装飾技術としては大変高度なものらしく、現在同じ製法で制作するのはコストが嵩みすぎて極めて困難だと言われている。
何より特筆すべきは、ボディの素材として用いられているカラー縞のセルロイド。
モンブランのこの世代特有のもので、すでに製造方法が不明になっているらしい。
そんな現代においても再現不可能というのが、そそられるポイントとなっている。
ライカの最盛期と謳われたLeicaM3前期の造りと、後期のワンストロークの利便性が一体となった時期が1958年あたりの92万台。
シャッター速度は正常に作動し、滑らかなストロークにうっとりしながらシャッター音も健在。
ライカのファンは筋金入りだ。
世界中に愛好者がいるので、フィルムカメラ時代は過ぎ去っても(最近復活)根強い人気。
これまた製造番号が入っているのでマニア心をくすぐる。
資料も多く、この92万台は1958年の後半の製造であることがわかっている。
うっとりするような質感をもつ梨地メッキに、製造番号の刻印がM3ー927574。
「だからなんなの?」と言われれば、返す言葉はないんだけど…。