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IDLE TALK
私的ココロ







ディーシー・ラボの代表、奥本が、モノやコトそしてドーラクについて、その時々の興味を気ままに綴ったアイドルトーク(無駄話)。仕事も遊びも楽しむ方々との小休憩ページです。
また時折登場する趣味のコラム「道楽迷路」は、その道の趣味、興味のない方にはさっぱり意味不明、本当に時間の無駄となります。


過去の私的ココロ

お暇な方、もの好きな方ヘ贈る、愛と追憶のバックナンバー。





Vol.011
バンブーロッドのススメ 【道楽迷路】

文・写真=奥本健二

道楽迷路へようこそ。
ここは私流の悦楽の扉であり、貴方をこの道の仲間にしようと
画策する、道楽への飽くなきススメなのである。ああ愉しき哉。
ささ、しばし休まれぃ。


お気に入りのバンブーロッドたち(手前から)
*ビヤーネ・フリース /KATANA 7'6"#4{2001年}
*H.L.レナード /オーサブル#38 7'00" #4{1978年頃}
*ボブ・サマーズ /ミッジ 6'6" #3〜4{2002年}
*H.L.レナード/ベイビーキャッツキル37ACM 6'00"#2〜3{1970年頃}
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渓流に通い始める前から、アウトドア指向だった。
70年代後半のアウトドアブームに感化され、大学では山岳部。
山歩き、ロッククライミング、スキー、キャンプ、そして渓流釣り。
自然の中で遊ぶ趣味はもう30年近い。

そんな中、自分で封印していた領域が、フライフィッシングだった。
初めてフライフィッシングなるものを知ったのは、アウトドアブームの火付け役「メイドインUSAカタログ」だったと思う。
そして、具体的にスタイルをイメージできたのは、当時の「メンズクラブ」の特集にモデルで登場していた、浜野安宏氏の写真だった。
東急ハンズなどを仕掛けた、日本を代表する総合プロデューサー)

学生当時、浜野氏が何者か全く知らなかったが、バーブァのジャケットを着込みバンブーロッドを持つ、英国紳士的ないでたちが印象的だった。
特に自然素材である“竹でできた竿”が脳に刷り込まれてしまったのだ。

程なく市内のデパート内の釣具店に、フライフィッシングの小さなコーナーができた。
そこで初めてバンブーロッドの実物を見た。
他の釣り道具とは違う聖域のように、鍵付きのショーケースの中に収められていたそれは、細く短く、グリップとリールシートがコルクで成形された、オービス社のインプリ「Flea」だったと思う。
その何とも頼りない姿に反して、恐るべき価格を付けられていた。

こりゃ無理だ。いかにも自分には分不相応。
憧れはあったが、フライという道楽は自分のすべきものじゃないと、自分に言い聞かせ、見て見ぬフリをして通り過ぎた。
当時はまだ、あらゆるものが高価だったフライフィッシング。
もしこの世界にはまれば、私の性格ならどっぷり行くところまで行ってしまい、破滅的な金遣いになる危険性があったからだ。

それから20年、禁断の領域を越えたきっかけは、永く憧れだった浜野安弘氏にお会いして、直接フライフィッシングの話を聞いたこと。
ほんの短い会話で、学生時代の封印は、いとも簡単に解かれてしまった。



当然フライを始めて、バンブーロッドに行き着くのは早かった。
なんたって2年目のシーズンには最初のバンブーロッドを振っていた。

キャスティングもままならない、メンディングも満足にできない初心者が、手にはバンブーロッドを握っているのだから、笑ってしまう。

こっ恥ずかしいので、人と釣行するときはもっぱらグラファイト。
ひとりで入渓するときが、バンブーロッドの出番だった。

ほぼ最初から竹竿を振っているから、ゆったりアクションは自分にとって一番自然な、釣りのリズムになっていった。

私は初心者の人にも、バンブーロッドを薦める。
「バンブーなんて、まだ早い」と熟練者の持ち物みたいに、ハードルを上げる必要なんてない。
慣れれば、ホント使いやすいんだから。

バンブーロッドのアクションは、グラファイトのそれとは大違い。
ラインを通さない状態で、プルプルと振ってみると、バンブー特有のゆったり、悪く言うとだらしないアクション。
しかしラインを通して振ると、実にシャキッとする。
振ろうと意識しないでも、ロッドが勝手にラインを飛ばしてくれるのだ。
小渓流で使う長さや番手であれば、竿自体の重さも気にはならない。
むしろ、その自重自体が機能なんだ。(すべて都合いい解釈)

また最近は年のせいか、#20あたりの小さいフライが見づらくなってきて、空気抵抗の大きい#10〜#14を使うことが多い。
そんなときもトルクフルで、力強いループをつくれるバンブーロッドの方が使いやすい。

またバンブーロッドで魚を掛けたときが、たまらない。
魚をいなす竿のしなりも、手に伝わる感触も、めちゃイイんだこれが。



なぜ、とりわけ高価で、重くて、取り扱いや保管に気をつかう、バンブーロッドなんだ?と改めて考えることがある。

私にとっては、機能的で使いやすい道具なんだけど、それ以外の何かがなければ、理由が付かないような気もする。(特に女房には)

機能以外で言えば、竹という自然素材の持つ温もりとか、素晴らしい手仕事で完成させるビルダーへの敬意とか、なのかも知れない。

表現が難しいんだけど、「安心できて、心地いい」って感じ。

自然の中で、最先端の工業製品だけでなく、自分は自然な素材を使って釣りをしていることが、なぜかうれしい気がするのだ。
そう、バンブーロッドのルックスは、日本の渓の景色にすごく同化すると思う。

そんなことに思考を巡らす私を、女房がひと言で切り捨てた。
「要するに、ビョーキ。病気の世界よ!」

ごもっとも…。

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バンブーロッドの購入を検討される方へ…

Q.お値段はいかほどなの?
A.日本のビルダーのもので10〜15万円程度。海外(主に米国)ビルダーのもので20〜35万円。中にはオーダーしても、5年以上待たされる場合もある。往年の銘品には、オークションで50〜60万円する高嶺の花も。基本的に1本づつ手作りだから、工業製品のロッドと同列で価格の比較はしにくい。中古品でよければ、ヤフオクなどで4〜5万円で落札可能。

Q.アクションなどは、どうやって確認するの?
A.生産数が少なく、これが一番難しい。プロショップ等で欲しい長さや番手のものがあれば手にしてみる。実際に振って確かめるのがベターだから、意中のビルダーの竿を知人が所有していれば、無理矢理にでも振らせてもらう。実際には、本やネットで紹介されるインプレッションなどで判断し、エイヤッ!とオーダーする人も多い。ま、人気ビルダー(特に海外)のものなら、オークションでも購入価格以上で売れる場合アリ。

Q.特別なメンテナンスは必要?
A.自然素材だからといって、それほど神経質になる必要はない。
ただし、使った後は乾いた布で水分を取り除き、直射日光や熱を避け、湿気のないところで保管する。この程度は守りたいところ。
また収納するときは、曲がりが出るのを防ぐため、バット部はグリップを下に、重い方を下にして収めること。


その他のご質問は気軽にどうぞ。
そんな貴方は、すでに道楽迷路の住人ですから…。






2005年08月21日 20時45分

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