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IDLE TALK
私的ココロ







ディーシー・ラボの代表、奥本が、モノやコトそしてドーラクについて、その時々の興味を気ままに綴ったアイドルトーク(無駄話)。仕事も遊びも楽しむ方々との小休憩ページです。
また時折登場する趣味のコラム「道楽迷路」は、その道の趣味、興味のない方にはさっぱり意味不明、本当に時間の無駄となります。


過去の私的ココロ

お暇な方、もの好きな方ヘ贈る、愛と追憶のバックナンバー。





Vol.008
涼やかな人

文・イラスト=奥本健二



盛夏である。
ここ数年は、日本が亜熱帯化したんじゃないかと思えるほどだが、それでも夏は暑いものなのだ。

政府は6月から環境対策で夏の軽装を推進する「ノーネクタイ・ノー上着」(クールビズ)キャンペーンを始めた。
小泉首相は早速、かりゆしウエア(沖縄版アロハシャツ)で登場。
首相は「ネクタイしないだけで楽だ」とアピールした。

温室効果ガス削減のために、夏のエアコンの温度設定を28℃に。
ネクタイと上着を脱げば、体感温度で2℃の差が出るという。
エアコンで寒がる女性にも優しい。
日本の夏の新しいビジネススタイルというわけだ。

ただね、ノータイだけがクールビズじゃない。
ネクタイしてても涼しげな人と、ノータイでも暑苦しい人がいる。
要はその人の醸し出す、涼やかに感じる雰囲気がポイントなんだ。

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連日気温は35℃を越え、外を歩く人々の額を汗が流れ落ちている。
そして涼しげな場所を求め、冷房の効いている喫茶店などはけっこうな客入りだ。

でも私は行かない。
暑がる人の集団を見るだけで暑苦しいから。

そんなときの私のオアシスは美術館だ。
地元でも旅先でも、時間にちょっと余裕があると、美術館に足を向ける。

どこだって映画より安く、人も少なく、広々涼しい。
ず〜〜と、長居したってとがめられない。
そこで、好きなアーティストの特別展なんてやってると、とっても“ラッキー♪”なんだ。
しかも、ゆったりできるカフェを備えた美術館も多くなっている。



出張先で、早めに仕事が終わったその日も、美術館に向かった。

その庭園を隣接させた美術館に入ると、石貼りのエントランスの輻射熱か、モワ〜ッとした熱気が襲ってきた。
私はふう、と深く息を吐くと額に手をかざし空を仰ぎ見た。
梅雨明け後の空は雲一 つない。
蒼穹という言葉が頭に浮かんだ。
たぶん暑苦しい顔になっている私の視界に、一服の清涼剤のようなシーンが飛び込んできた。

庭の花を愛でる若い女性がひとり。

さらさらと長い髪を靡かせながらたたずむ女性は、そんな中で汗ひとつかいていない様子。
その立ち姿がいかにも涼しげで、“絵になるシーン”だった。

暑いからといって、とれかけメイクで汗をふきふき歩いたりしない。
そこだけすっと涼しい風がふいているような…そんな涼やかな顔だった。

よいものを見たなと思いながら、先にカフェに入り小休憩。

そこには、(ン?モデルさん?)と見まがう美しい人がいた。
手元には文庫本かなにかを持っている。

(ウ〜ン美術館で読書とは…おぬし、できるな)

時おり顔を上げて窓の外を眺める横顔に、やわらかな光が映る。
(お、シャッターチャンス)
と、ノーフラッシュで撮影する。
隠し撮りじゃないよ、たまたまテーブルにデジカメ置いてたの。

2人の女性に共通するのは、涼やかな雰囲気を醸し出していて、存在自体がクールビズだったってこと。
暑さを楽しんでいるかのような彼女たちのように、涼やかな顔で夏を乗り切れると、ホントに素敵だと思う。

そんな姿をじっと見つめる私の方は、「涼しげ」というより、「あやしげ」なのだが…。




2005年08月07日 17時43分

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